作家楠木新さんの著書、会社に使われる人 会社を使う人を読んでみた。
著者は、『定年後』というベストセラー著書を書かれたことでも有名。本書はその定年後の内容も引き継いで、人生100年時代をふまえたサラリーマンの生き方について書かれている。
この本を読んで響かない人もいるかもしれない。私の場合はというと、びんびんと響いた。
著者の大きな主張としては、サラリーマンとしての立場( ”第一の自分”)を活かしながらも会社外での自分(”第二の自分”)を作っていくのがこれからの人生を過ごしてゆく上で、とても重要である、というもの。
サラリーマンとしての挫折を経験しながらもサラリーマン勤めを完遂した後に作家としても大成した筆者の主張は経験者の弁として説得力があった。
特に会社での出世や人間関係などで悩みが深い人が読むと会社勤めを客観化もしくは相対化できて救われると感じられる記述も多いと思われる。
日本組織の特殊性などの考察もなかなか興味深かった。
以下、特に響いた箇所を抜粋してみる。
P38
(作家の加藤廣さんを引き合いに)四十代半ば、遅くとも五十代前半には自分に向いたもので”もう一人の自分”を作るためのアクションを始めるというのが私の提案したい当事者たちから学んだ人生戦略なのである。
P46
「こころの定年」=「組織で働く意味に悩む状態」は四十歳を過ぎた頃から徐々にやってくる。
P79
私自身の体験と実感も交えていえば、会社という共有の場でサラリーマンが仕事を円滑に進めるための態度要件は、「お任せする」と「空気を読む」の二つに集約される。
P86
多くのサラリーマンは、自分が描く会社という枠組みにとらわれすぎているというのが私の実感だ。もう少しこだわりを外せば、かなり自由に活動できる場になるのではないか。
P135
自分を表現するための時間をサラリーマン人生に組み込んでも、会社は同じ給料を払ってくれる。まさに「天国」ではないか。働けるだけで、丸儲けなのである。
P137
会社の仕事中心で働いている人は、表面的には強いように見えても、一本足で立っている姿は思ったよりも不安定だと私は思ってきた。
P141
会社の資源の最も大事な点は「友だちをつくれること」だと、今も私は思っている。そしてそのことが、よい仕事を進めるポイントだと確信している。
P143
サラリーマンという立場の限界
第一条 努力した分は自分に返ってこない
第二条 自己実現は目指せない
第三条 取り替え可能な仕事である
第四条 根回し、調整が必要
P144
会社の外に”もう一人の自分”をもっていれば、限界を感じた自分を客観視することができる。
P169
会社員はやはり複数の自分で勝負したほうがよい。また、いきなり起業や独立を考えるよりも、合わせ技一本を狙うことが組織で働く人間には似合っている。ぜひともサラリーマンは芸名をもつべきだといまは考えている。
P198
時間をかけ、徐々に自分の向かいたいところにじわりとじわりと近づくのは、サラリーマンの大切な歩み方である。
もう一人の自分を見つける活動をすることで、安定を得て、うつの危機からも回復したという著者の体験談。著者の”定年後”は読んでいないけど、そこにはつながっているのだろう。
私のような人間にとっては背中を押してくれるようなものに感じられて、心強かった。元気をもらえる内容だった(それなりの年齢になりながら、メンター的な人物を求めてほうぼうインタビューに出かける行動力は流石だと思った。)。
会社をとことん使わせてもらう、を意識して働くのも、一つの心の持ち方では、とかなり参考になった。手元において何度も読み込んでみたい。
会社に使われる人 会社を使う人目次
第1章 『LIFE SHIFT』の実践は難しい
第2章 「パワハラ」と「同期入社」の根っこは同じ
第3章 会社に使われる人たちの末路
第4章 会社を使って“もう一人の自分”をつくる
第5章 “楠木新”はこうしてつくられた
第6章 七つの転身パターンが教えること
終章 なぜ会社にとってもメリットか
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