私は、大学卒業後、販促プロモーションの事業を行なっている会社に4年間勤めました。その後、退職を決意し、今は地方の個人事務所で会計の仕事をしております。
そこで今回は、地方への転職活動と、他業種への転職活動の2つのテーマについて同時にお話できればと思います。
前社の退職と同時期に、私は縁あって他県に引っ越す事が決まりました。
私的な理由でしたので、退職段階では転職先も決まっておらず、また東京生まれ東京育ちだった私は田舎暮らしに右も左もわからず、転職活動よりも先ずは生活に慣れるのに必死でした。貯金を切り崩して日々を送っていました。
役所関係の手続きや新生活の準備がひと段落すると、早速、転職活動をはじめました。仕事を探す手法は主に二つ、「転職サイト」と、「ハローワーク」でした。
ちなみに、割と大手の都内の会社にストレート入社経験がある私は、正直ハローワークに対して良いイメージを抱いていませんでした。
というのも、離職をした際にハローワークへ行き、様々な手続きを済まさなければならなかったのですが、その場にいた求職者、特に切羽詰まった感じの方々と同席する機会もあり、自分も同じ境遇なのかと考えると少し辛かったからです。
そのため初めのうちは、「転職サイト」を中心に転職活動をスタートしました。しかし、いきなり地方ならではの壁にぶつかりました。いくつか例を挙げます。
・平均賃金が都内より格段に低い
・高収入の仕事の殆どが、資格保有者か、肉体労働系
・その地域の「優良企業」をそもそも自分が知らない
・業種が少ない
・魅力的な仕事は、地方の中でも「都市部」に集中しがち
・情報量が多い。というより、煩雑すぎて分からない
など、要するに私は困惑させられたのです。何に困惑したのか?
それを一言で表すと、都会とは「世界が異なる」ということです。これは都会と地方の優劣を比べているわけではありません。地方にも沢山の魅力があります。
しかし、東京での生活しか知らずに生きてきた私とって、地方は外国のようなもので、生活環境も地理も、常識も全てが異なりました。
そこで私は、まず、これから自分が住んでいくこの町を知るための勉強から再スタートしました。
偶然にも昔の知り合いが同県にいたので、彼と実際に会って土地柄や企業情報など、必要な情報収集を行いました。
具体的には、どのくらいの収入があれば生活できるのか? 高収入を謳う企業の安全性は? 何の職種が人気? 車移動が多いけど(都会と違って電車移動が全くない!)、営業関係の仕事だと相当辛い? といった詳細を調べました。
大事だったのは、今までの価値観に縛られないことでした。例えば、地方は車移動中心なので、就職先は「駅近」よりも、「駐車場完備で無料。朝渋滞しない場所にある」方が重要です。
また、働き方改革が叫ばれている世の中にあっても、そもそもそれほど深夜残業が蔓延しているわけでもなく、案外早めに帰宅できる会社が多いので、「定時上がりで、高収入ではないがある程度余裕のある生活」を、再就職の基準として選ぶことができます。
また、もちろん同時に転職サイトで仕事を探していましたが、ある日、ふと気づいたことがありました。それは、ハローワークを通じた求人案件が、その転職サイトで多く紹介されていることです。
上述したように当初ハローワークを毛嫌いしていた私はそれらを流し見していたのですが、やたらと多いので考え始めるようになります。
そこで気づいたのは、「地方の企業」の実情です。
色々と調べていた私は、「地方の企業の経営者が人手不足で悩んでおり、だけど求人応募に費やせる宣伝広告費用もあまりない」ということを知っていました。
それに、この段階になると、いわゆる大手企業とかハイスペック系企業だけでなく、地方には規模が小さくても自分の価値に合う素晴らしい会社や個人事務所が多くあることを学んでいました。
加えて、転職サイト経由で若者が応募してくる都会とはルールが違いますし、だからこそ知名度も信頼度も高いハローワークは、経営者からの信頼も厚く、良質な求人応募が多く寄せられているのでした。
私は実際にハローワークへ何度も通い、情報収集に努めました。
設置されている検索機で調べられる求人情報は、自宅のネットでも同様の内容が閲覧できますので、それよりも相談係の方との面談が非常に有効でした。
相談係の方はかなりプロです。これはおそらく多くの会社が溢れる都会と違って地方では企業数が限られるので、1社1社を熟知した相談の方がとても親切に企業情報を教えてくれます。
特に私の場合は、東京から地方への引越し・転職という珍しいケースでしたので、生活面の相談も含めて、どういった再就職先が適しているのかを総合的にアドバイスしてもらえました。これはネット型の転職サイトでは、なかなか無理なところでしょう。
そして、今振り返れば、ここからが最も重要なコツでした。「自分の転職目的を知る」ということです。自分自身で、「自分の転職目的を知る」というのは変に聞こえるかもしれませんが、何よりも大事です。
「何が目的で、何処で、どのように生活し、どんな将来を描いて転職をするのか」を箇条書きにしてノートに書いていきます。
簡単そうに見えますが、いざ本腰を入れて地方で転職活動を始めると、どんどん不安要素が溜まってきます。
つまり、「また東京に戻る可能性は?」「前職のスキルを捨ててもいいのか?」など、過去の自分にどうしても引きずられます。そこで、思い切り、が必要になります。
男なら腹をくくれ、ということです。時間はどんどん過ぎていくし、貯金も減っていきます。うじうじしている暇はないのです。私は目標を設定しました。
・この土地で、一生働ける仕事をする
・収入よりも、土地や社会に貢献できるスキルを磨ける仕事をする
・なるべく家の近くで働き、無駄なストレスを貯めない(精神的な豊かさを重視する)
・肉体労働系・残業の多い仕事は選ばない(自分の体力にあった仕事をする)
・前職の仕事にこだわらない
こうやって目標を明確にすると、かなり取捨選択ができます。スムースな転職活動には、幅を広げることよりも、あえて選択肢を絞ることの重要性に気づいたのです。
そこからの展開は早く、ハローワークの方とも面談を重ね、私は一つの答えに行き着きます。それは、経理・会計の仕事が適しているのはないか?ということです。
経理・会計の仕事は、社会に必要で、経営者の方からの信頼も厚い職業です。それに、都市部に行かずとも住宅地の中にも求人募集をしている事務所はあります。
一方、低収入で有名な業界でもありました。しかしながら、残業が少なく、スキルアップも狙え、プライベートの時間も多くとれるという利点も多くあり、私は自分の人生を豊かにさせるために、この業界一本に絞りました。
そして実際に、ハローワークを通じて求人を出している企業や事務所に応募していきます。相談役の方が、その場で企業の採用面接担当者と連絡を取り、年齢や、経歴が合えば、まずは書類選考してくれる場合もあります。
全てではないですが、上述した通り、私は「自分の転職目的を整理」していたので、採用担当者も状況を理解してくれるケースが多かったように思えます。
一番やってはいけないことは、自分のプロフィールやアピールポイントが曖昧な状態で挑むことです。
こうして段取りを踏まえて進めていたので、書類選考時に送る履歴書は、それほど苦労しませんでした。「自分の転職目的を整理」した内容を、淡々と、堂々と書いていきます。そして、いくつかの面接が決まりました。
ここまで書けばお気づきかと思いますが、面接の際も同様です。
志望理由をロジック化している私は、それをそのまま採用担当者の方に話していきます。
ワンポイント・テクニックのようなものがあるとすれば、履歴書の内容を伝えることはもちろん、そこに自身のより具体的な状況を、冷静に、かつ冗談も交えながら話していきます。
履歴書に書かれていない実情や、熱意、志望理由を、真剣に伝えます。一方で、堅苦しい雰囲気を避けるために、相手の顔色を伺いながら、冗談を交えて親近感を持ってもらいます。
そうすることで、私が「あなたの会社に貢献できる」人材であることを示すのです。会社側は、まず見知らぬあなたが、「害がないか」を恐れています。優秀な人物が欲しいのは当然でしょうが、それ以前に、「会社に馴染み、共に働き、楽しく時間を共有できるか」を判断しているはずです。そのためにも、「自分の転職目的を整理」することが大事だったのです。
「志望理由をロジック化」して堂々と話せば、会社側は不安が少しづつ剥がれていきます。私は最終的に、希望する1社に決まりました。
何社か受けて全てが採用されたわけではありません。しかし、自分の状況や志望理由を曖昧にせずに、明瞭化したことが功を奏しました。それに、その土地にはその土地なりのルールが必ず存在します。
地方への転職活動を考えている方には、頭を切り替えて、様々なことを徹底的に事前リサーチし、新しい自分として励まれることで必ず成功すると応援しております。
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