キャリア公務員から民間のキャリアコンサルタントに転職した著者山本直治さんによる人材コンサル業の内幕を書いた本、人材コンサルタントに騙されるなを読んでみた。
筆者がなぜ公務員から民間に転職したのかという疑問は誰でも持つところであるが実は本書には書いてない。
本文でも紹介がある著者の前著(公務員、辞めたらどうする?)を参照してみたところ、公務員の転職を支援したいという思いを持って人材紹介の業界に飛び込んだのだそうだ。
この前著には公務員から民間に移り徐々に人材コンサルとして成長する姿が詳しく書かれていた。
話を戻すと本書は以下の趣旨で書かれている。
P4
企業広告ではない中立的なかたちで人材コンサルタントの仕事の実態を紹介することで、多くの方々に人材紹介業界に対する理解を深めてもらいたい
人材紹介の歴史
待遇
仕事の仕方
やりがい
難しさ
どんな人に向くのか
そんなことがかなり詳しく書かれている。さすが元キャリア官僚だけあり、バランスよく描かれているという印象だ。
この本で分かった事は以下のようなことだ。
- 人材紹介が本格化したのは20世紀末からでありまだまだ未成熟なビジネスである
- 業態としては仕入れの予測がしにくい非常に不安定なビジネスである
- 企業と求職者の間に入りバランスを取ることを求められる仕事である
- 歩合制であることも多く過当競争に直面し非常にきつい仕事できつい状況である
- 歩合制であることもあり、コンサルタントは企業と求職者の間に挟まれて、非常に難しいバランスを求められている
- コンサルタント個人の力量に大きく左右される部分がある、求職者とコンサルタントとの相性のようなものも大きく関係する
- 求職者への企業紹介などで自動化されている部分も大きいが、まだまだまだ人間対人間の部分を残しており、今後もその部分については残ると予想される
個人的には、人材紹介のビジネスの仕組み(求人企業からお金をもらっている営利ビジネスであること)を良く知った上で、うまく人材紹介のコンサルタントの方に応募先の探索・面接の練習・職務経歴書の書き方・スケジュール管理などで動いてもらって、活用させてもらうことで、良い転職ができる可能性は高くなるだろうと思っているのだが、その用途で読むのにはちょうど良い本だった。
人材紹介を何度も利用させてもらったこともあるし、人がビジネスの根幹であるということもあるので、本書を読んで今後の人材ビジネスがどうなってゆくのかにも興味が湧いてきた。
本日の一文(P220)
どんなに機械的なマッチングが進化しようとも、こうした眼力に裏付けられた「この人にはこの企業があうはずだ」というアナログ的直観の重要性は、今後も変わることはないと私は考えている。
人材コンサルタントに騙されるな!目次
-
第1章 人材紹介会社って何?
第2章 人材紹介会社に対する誤解と真実
第3章 人材紹介業界生息日記―悲喜こもごも
第4章 人材紹介会社の光と陰
第5章 新説 人材紹介会社の選び方
第6章 人材紹介会社―「我が世の春」の終わりは来るか -
- 次はこちらもどうぞ:
-
Twitterでも継続的に情報発信中(アカウント新設しました。)。
是非フォローをお願いします!